良かれと思って積んだその一段が、実は商品全体の値打ちを下げている。
人間の評価の仕組みには、直感に反するバグが一つある。
人は提示物の合計ではなく平均で品定めするため、安いおまけは全体の格を薄める。
足し算のつもりの一手が、割り算として働く。
30種の中の傑作3種だけを出した方が、束全体より高く評価される。
数は誠意に見えて、実は自信のなさの信号として読まれる。
講座の修了率は一桁%が標準 — 足りないのは情報ではなく実行であり、実行を止めているのは意志ではなく摩擦。
読むものを増やす特典は、顧客の負債を増やしている。
本カリキュラム自体がこの規律で作られている。
詰め込みは制作側の不安の処理であって、受け手への奉仕ではない。
この要素を外したら全体の価値は下がるか。
下がらないなら外す。
引き算が価値を作る。
すると、おまけ付きの方が支払ってもよいと答えた金額が下がった。
1曲分の価値が加算されるどころか、束の平均を下げたのである。
高級ホテルの客室に販促チラシがほとんど置かれていないのも、同じ原理の実務側の適用である。
格は、足すことではなく削ることで守られる。
要素の数を絞り、残した要素を単体で売れる水準まで作り込む。
引き算と手抜きは、力の向きが逆である。
だから価値は、積むのではなく、削って研いで作る。
