事業の相談の多くが、届け方の話から始まる。
だが届け方は三つの問いの最後尾である。
先頭の問いを飛ばした事業は、どれだけ走っても届かない。
「30代の経営者」ではなく「毎月広告費50万円で成果が頭打ちの人」。
行動で定義された顧客は探せるが、属性で定義された顧客はどこにもいない。
定義の粒度が、以後の全工程の精度を決める。
機能的ベネフィット(理性の利益)と感情的ベネフィット(心理の報酬)。
コンセプトはインサイト→ブリッジ→ベネフィット→信じる理由→独自性の5文で書く。
5文で書けない商品は、まだ売る段階にない。
タッチポイントの選定は、上流が決まって初めて意味を持つ。
誰の、どの痛みに、何を届けるかが決まれば、媒体はほとんど自動で絞られる。
逆に上流が空欄のままの媒体選びは、宛先のない手紙の投函方法を悩んでいるに等しい。
この逆走が売れない商品の最大の量産源であり、努力量とは無関係に失敗が確定している。
一文に書けないなら、WHOに戻る。
戻ることは後退ではなく、最短経路の再計算である。
調査チームが家庭を回ると、臭いの強い家に住む人ほど自分の家の臭いに慣れて自覚がない、という事実が見つかった。
つまり「臭いに困っている人」というWHOの定義が、現実には存在しない顧客を指していた。
そこで「掃除の仕上げにひと吹きする習慣」へ位置づけを変えたところ、売上は急伸した。
商品も流通もほぼ同じまま、WHOの理解だけが変わった。
最上流の一問が外れていると、下流の努力は全部空回りする。
顧客は自分の痛みは語れるが、解決策は言語化できない。
聞くのは痛みと行動であり、WHATの設計は事業者の仕事である。
この順で決め、詰まったら一段戻る。
順序を守ること自体が、最大の売れる技術である。
書けるまで商品の話を止める。
