LF. 理論カリキュラム100 / 第7部 注意→信頼→販売
071
市場で最も高価な資源は注意である
良い商品を作れば売れる。

そう信じて磨き続けたのに、誰にも見られないまま終わっていく商品が無数にある。

品質を疑う前に確認すべき前提が一つある。

市場で取り合われている資源は、もう商品の側にはない。

命題
AIがコンテンツを無限に量産できる市場で、希少なのはコンテンツではなく、見る側の注意である。
前提講 008
出典 ハーバート・サイモン「情報の豊かさは注意の貧困を作る」(1971)。
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供給が無限に近づくと、価値は供給側の品質から、受け手の有限な注意へ移る。

経済学者ハーバート・サイモンが1971年に指摘した通り、情報の豊かさは注意の貧困を作る。

コンテンツが増えるほど、1本あたりに配られる注意は薄くなる。

AIによる量産は、この希少の逆転を最終段階まで進めた。

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よってマーケティングの第一の仕事は、良いものを作ることではなく、注意を獲得することである。

見られていない商品は、市場では存在していない商品と同じ扱いを受ける。

品質が評価の対象になるのは、注意を獲得した後である。

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良いものが売れないのは品質の問題ではなく、注意の獲得工程が欠落しているだけのことが多い。

作り手は品質の改善に逃げ込みやすい。

品質改善は自分の机で完結するが、注意の獲得は市場に出て測る必要があるからだ。

逃げた先に答えはない。

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ただし注意は始点にすぎない。

注意→信頼→販売という順序(008の適用)の第一段である。

注意だけを集めて売れば炎上商法になり、注意を集めながら信頼へ渡さなければ、換金されないまま消える。

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では、注意はどうやって取るのか。

答えは意外な場所 — 道化にある。

賢さの競争の外に、注意の獲得を職業にしてきた歴史上の先達がいる。

事例
動画広告の設計の変遷を見るとよい。

テレビCM全盛期は15秒で起承転結を作れたが、YouTube広告は開始5秒でスキップ可能になったため、制作の重心は「何を伝えるか」から「最初の数秒で指を止められるか」へ移った。

冒頭に顔のアップを置く、問いを投げる、違和感のある画を見せる。

これは制作者の流行ではなく、注意が最も希少な資源になったことへの適応である。

広告市場では、注意はすでに秒単位で値付けされている。

事例続

個人の発信も同じ市場で戦っている以上、この値付けから逃れられない。

よくある誤解
「注意の獲得が第一」を「目立てば何でもいい」と読むのは誤りである。

注意は三段の第一段であって全体ではない。

信頼へ渡せない注意は換金できず、稼ぎ方を間違えた注意は、燃やした評判の分だけ赤字になる。

まとめ
市場で最も希少な資源は注意であり、マーケティングの最初の仕事はその獲得である。

ただしそれは、三段の地図の入口にすぎない。

宿題
自分の商品が「見られた上で買われていない」のか「そもそも見られていない」のかを、表示回数と成約率の数字で切り分ける。
次講
次の講へ。
LF.
第7部 注意→信頼→販売
071 市場で最も高価な資源は注意である
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