この経験から「やはり自分でやるしかない」と結論する人は多い。
だがこの失敗は、外注先の能力の問題であることは少ない。
渡す前の工程が一つ抜けているのである。
まず自分でやって型を作る。
次に型を文書化する。
それから、判断を含まない反復は自動化へ、判断を含むものは委譲へ渡す。
この順序は入れ替えられない。
型がないものは、機械にも人にも渡せないからだ。
基準がないから毎回品質が揺れ、手戻りが発生し、指示のやり取りが膨らみ、結局自分でやるより高くつく。
丸投げの失敗は、相手の能力測定ではなく、自分の型化の未完了の証明である。
効率化されるのは成果ではなく、誤りの生産速度である。
文書化された手順は、ツールに載せれば自動化になり、人に渡せば委譲になる。
どちらを選ぶかはコストの比較問題であって、悩みの種ではなくなる。
品質9割で回り続ける仕組みは、品質10割で止まる属人に、事業としては勝る。
完璧な自分は、いつか必ず倒れる単一障害点だからである。
1940年代末、マクドナルド兄弟は自店の調理工程を徹底的に分解し、誰がやっても同じ品質のハンバーガーが一定時間で出てくる「スピーディー・サービス・システム」という型を作り上げた。
1950年代にレイ・クロックがこの型をフランチャイズとして全国に複製し、世界最大の外食企業が生まれた。
順序に注目してほしい。
拡大が先ではない。
一店舗での型化が先で、複製は後である。
型のないまま多店舗化した無数の飲食店が消えていく中で、型を先に作った一店だけが世界に増殖した。
信頼で品質は安定しない。
安定させるのは、合格と不合格の基準が書かれた文書である。
人を信じる前に、文書を作る。
それが結果として、人を信じられる状態を作る。
任せられない悩みの答えは、求人サイトではなく、自分の手順書の中にある。
書けない箇所が、まだ型になっていない部分である。
