LF. 理論カリキュラム100 / 第5部 落ちても墜ちない
057
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故障の型で対策を変える
立ち上げ直後のトラブル、軌道に乗った後の突発事故、長く続けた事業の緩やかな失速。

この三つを同じ「失敗」と呼び、同じ「もっと頑張る」で応じていないだろうか。

命題
初期故障には慣らし、偶発故障には冗長化、摩耗故障には予防保全。型の誤診は、誠実な努力の空振りを生む。
前提講 053
1 / 5
機器の故障率を時間軸で描くと浴槽の断面型になる。

使い始めに高く(初期故障期)、その後低く安定し(偶発故障期)、長期使用の末に再び上昇する(摩耗故障期)。

2 / 5
新規事業の立ち上げ直後は初期故障期である。

不具合の多発は異常ではなく仕様であり、ここで本番の全資源を投入しない。

小さく始めて初期不良を出し切る期間は、臆病ではなく標準工程である。

3 / 5
軌道後の偶発故障は、いつ起きるか予測できない。

予測できないものは点検では捕まらないから、顧客・チャネル・収入源の複数化、つまり冗長化で受け止める。

4 / 5
長く続いた事業・技能には摩耗が必ず来る。

摩耗に冗長化は効かない。

同じ環境と習慣を共有する系統は同時に摩耗するからである。

効くのは記録による劣化の可視化と、まだ動いているうちの計画的な更新である。

5 / 5
人生の失敗論が「もっと頑張る」で終わるのは、落ち方の分類を持たないからである。

型を誤診すれば、対策は誠実でも空振りする。

事例
製造業のエージングはこの分類の実務化である。

電子機器メーカーは出荷前の製品にあえて負荷をかけ、初期不良品を工場の中で先に故障させてから出荷する。

市場で壊れるより工場で壊れる方が桁違いに安いからである。

事業に翻訳すれば、新サービスを全顧客へ一斉展開せず、少数で不具合を出し切ってから広げる段階投入がこれに当たる。

逆の実例が摩耗の見逃しで、架空の例だが、講座事業の売上が年5%ずつ静かに減るとき、人はそれを「今期はたまたま」と偶発として処理しがちである。

事例続

記録を並べれば傾きを持った摩耗であり、必要なのは反省会ではなく商品の計画的な更新である。

よくある誤解
「摩耗が来たら終わり」は誤読である。

摩耗は予兆を伴ってゆっくり進む、最も対処しやすい故障型である。

怖いのは摩耗ではなく、変化が遅すぎて「いつも通り」に見えることだけだ。

まとめ
故障は初期・偶発・摩耗の三型に分かれ、薬は慣らし・冗長化・予防保全である。

診断が処方より先に来る。

宿題
いま起きている不調を一つ選び、三型のどれか診断する。

診断名が決まれば、打ち手は自動的に決まる。

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