この三つを同じ「失敗」と呼び、同じ「もっと頑張る」で応じていないだろうか。
使い始めに高く(初期故障期)、その後低く安定し(偶発故障期)、長期使用の末に再び上昇する(摩耗故障期)。
不具合の多発は異常ではなく仕様であり、ここで本番の全資源を投入しない。
小さく始めて初期不良を出し切る期間は、臆病ではなく標準工程である。
予測できないものは点検では捕まらないから、顧客・チャネル・収入源の複数化、つまり冗長化で受け止める。
摩耗に冗長化は効かない。
同じ環境と習慣を共有する系統は同時に摩耗するからである。
効くのは記録による劣化の可視化と、まだ動いているうちの計画的な更新である。
型を誤診すれば、対策は誠実でも空振りする。
電子機器メーカーは出荷前の製品にあえて負荷をかけ、初期不良品を工場の中で先に故障させてから出荷する。
市場で壊れるより工場で壊れる方が桁違いに安いからである。
事業に翻訳すれば、新サービスを全顧客へ一斉展開せず、少数で不具合を出し切ってから広げる段階投入がこれに当たる。
逆の実例が摩耗の見逃しで、架空の例だが、講座事業の売上が年5%ずつ静かに減るとき、人はそれを「今期はたまたま」と偶発として処理しがちである。
記録を並べれば傾きを持った摩耗であり、必要なのは反省会ではなく商品の計画的な更新である。
摩耗は予兆を伴ってゆっくり進む、最も対処しやすい故障型である。
怖いのは摩耗ではなく、変化が遅すぎて「いつも通り」に見えることだけだ。
診断が処方より先に来る。
診断名が決まれば、打ち手は自動的に決まる。
