存在するのは、復旧が速すぎて失敗が外から見えない人である。
この直感を数式にした指標がある。
MTBFは平均故障間隔、MTTRは平均修復時間。
稼働率を上げる道は、壊れにくくする道と、直りやすくする道の二本ある。
故障ゼロへの努力は急速に逓減するが、復旧手順の整備・予備の事前配置・切替の訓練は、投資にほぼ比例して効く。
存在するのは復旧が速い人と遅い人であり、復旧が10倍速ければ稼働率はほぼ無傷に見える。
事業者個人の設計も同じ軸足でよい。
全域停電からの復旧では、外部電力なしに自力起動できる電源(多くは水力発電所)をまず立ち上げ、その電力で次の発電所を起動し、送電網を島のように広げて系統を再構築する。
2018年の北海道ブラックアウトでも、この手順に沿って復旧が進んだ。
重要なのは、手順が事故後に考案されたのではなく、事前に文書化され訓練されていたことである。
事業でいえば「主要顧客を失った日に最初に打つ連絡先のリスト」を平時に書いておくことが、これに当たる。
故障には毎回コストがかかる。
式の含意は、予防投資が逓減し始めた地点から先は、同じ資源を復旧短縮に回す方が効く、という配分の話である。
失敗の回避と同じ真剣さで、復旧の速さに投資する。
書いた瞬間、MTTRは短くなる。
