航空業界には、予備を予備と認めるための厳格な会計基準がある。
満たせなければ旅客機として認可されない。
冗長性とは、平時に余剰能力を遊ばせておくことと同義である。
主収入が止まったと仮定し、残る収入の合計は、遮断順位(049)で下位を切った後の固定支出を上回るか。
上回らないなら、それは復旧を早める補助部品であり、冗長会計には算入できない。
検算せず本数だけ数えるのは、上昇できないエンジンを頭数に入れて海へ出ることに等しい。
希望的観測による一本化は、判断ではなく賭けである。
かつて双発機は経路上のどこからでも60分以内に着陸できる空港を求められ、大洋横断は3発機・4発機の領分だった。
しかしエンジンの信頼性が実測データで劇的に向上すると、1985年以降、条件を満たした双発機に120分、180分と制限が緩和され、今日の大洋横断の主流は双発機になった。
部品が信頼できるほど必要な多重度は下がること、そしてその信頼が設計の主張ではなく整備品質と運航実績の審査で証明されたこと。
収入源の「安定」という主張にも、同じ水準の証明を要求すべきである。
補助部品には復旧を早める価値があり、育てれば冗長系統になる。
誤りは、上昇勾配を満たさない段階で「2本あるから安心」と会計を偽ることだけである。
本数ではなく残存能力で数え、安定の主張にはデータを要求する。
前者が小さいなら、収入源は1本である。
