答えは、失敗という言葉が二種類の現象を混ぜていることにある。
一つの収入源の消滅、一時的な体調悪化、一つの取引先の喪失。
部品の故障率はゼロにならないから、確率的に必ず起きる。
再起不能な破産、信用の完全喪失、決定的な健康毀損。
こちらは必然ではなく、連鎖を断つ設計が可能である。
「落ちない設計」は原理的に不可能だが、「墜ちない設計」は可能である。
目標を取り違えると、不可能事に資源を注ぐ。
信頼の証ではなく、不信の制度化。
仕様と呼ぶ者だけが、対策を設計図に描ける。
定期航空の事故率は今日「100万フライトあたり何件」の単位で議論される。
これを支えたのが国際民間航空条約第13附属書の調査哲学で、事故調査の目的は将来の事故防止であり、罪や責任を課すことではないと明文で定める。
責任追及を優先すると情報が隠れ、同じ事故が繰り返されるからである。
前提の暗さと結果の明るさは矛盾しない。
落下には毎回コストがかかる。
区別の目的は、有限の備えを「墜ちる」の防止へ集中させる優先順位づけである。
恐れを二つに仕分けた者だけが、正しい場所に壁を築ける。
定義がなければ、防ぐべき一線が決まらない。
