LF. 理論カリキュラム100 / 第4部 会計と逆算
041
一人前ラインの算術
月利益150万円と聞くと、多くの個人事業者は「上級者の話だ」と感じる。

だがこの数字は、成功者の自慢から出てきたものではない。

生活費と再投資という二つの支払いから逆算すると、機械的にここへ着地するのである。

つまりこれは目標ではなく、計算結果だ。

命題
個人なら月利益150〜200万円。これは願望ではなく、生活と再投資からの逆算で出る数字である。
前提講 023, 034
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事業の成長は、上がった利益の再投資で駆動する。

利益から再投資できない事業は、私財を注ぎ足すことになるが、それは事業と家計の間にあるべき隔壁を自分で壊す行為である(第5部で詳述)。

事業は、自分の燃料を自分で生めて初めて自走と呼べる。

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そこで仮に、利益の50%を事業再投資に、残り50%を自分の手取り側に回すと置く。

この比率は、成長を止めない最低限の再投資水準として妥当な出発点である。

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計算を通す。

月利益160万円なら、80万円が再投資、80万円が手取り側に回る。

手取り側から税と社会保険をおよそ3割強引くと、手元にはおよそ55万円が残り、月の生活費40万円を賄ってなお余裕がある。

この逆算を一般化すると、生活費40万円の個人に必要な月利益は150〜200万円のレンジに収まる。

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このラインを下回る状態は、「事業が自走の燃料を自分で生めていない」状態である。

生活はできても、再投資の原資が出ないため、成長は本人の追加労働だけが頼りになる。

それは第6部で見る通り、構造としては停滞である。

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高く聞こえるのは金額のせいではなく、逆算をしたことがないせいだ。

感覚で聞けば大金だが、式で見れば、生活と成長を両立する個人事業の損益分岐点にすぎない。

一人前とは才能の称号ではなく、算術の通過点である。

事例
架空の例だが、月利益60万円のデザイナーがいる。

生活費40万円を引くと残りは20万円で、税金を払えば再投資はほぼゼロになる。

彼女は3年間「順調に食えている」と感じていたが、外注も広告も教材も買えないため、3年後も稼ぎ方は初年度と同じだった。

一方、単価改定と商品化で月利益を170万円に乗せた同業者は、毎月80万円を外注化と集客の検証に回し、2年で自分の稼働を半分に減らした。

60万円の彼女が怠けていたのではない。

事例続

再投資の原資が出ない損益構造が、成長の入口を閉じていたのである。

よくある誤解
「150万円に届かない自分は失格だ」と読むのは誤りである。

このラインは資格試験ではなく、逆算の到達目標である。

今が30万円なら、間の道のりを第3部の再現性と本部の単価経済性で設計すればよい。

ラインの用途は、自己否定ではなく現在地の測定だ。

まとめ
生活費と再投資から逆算すると、個人の一人前ラインは月利益150〜200万円に落ちる。

願望ではなく割り算である。

宿題
自分の生活費と目標再投資率を使って、自分版の一人前ラインを計算する。

現在の利益との差額が、設計すべき距離である。

次講
逆算の最後の部品、やめ方の設計
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