LF. 理論カリキュラム100 / 第4部 会計と逆算
038
単価経済性
LTV・CAC・回収期間
売上が伸びているのに、月末の残高は減っていく。

この不気味な現象には、はっきりした原因がある。

顧客を一人増やすたびに、実は損をしている事業が存在するのだ。

しかも本人は、伸びているせいで気づけない。

命題
顧客一人あたりの経済を分解できない事業は、伸ばすほど現金が減る。
前提講 037
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LTV(顧客生涯価値。

一人の顧客が生涯にもたらす利益の総額)は、単価×粗利率×購入回数で近似する。

重要なのは売上ではなく粗利で数えることだ。

売上ベースのLTVは、粗利の薄い商売を立派に見せる化粧になる。

2 / 5
CAC(顧客獲得コスト。

一人の顧客を得るためにかかった総費用)には、広告費だけでなく、獲得に使った自分の人件費(037)も含める。

営業に費やした時間を除外したCACは、実際の半分の数字しか示さない。

3 / 5
見るべきはLTV/CACの倍率より、回収期間(CACを粗利で回収し終えるまでの月数)である。

倍率が3倍でも回収に12ヶ月かかる事業は、新規獲得を増やすほど当面の現金が先に出ていく。

成長するほど現金が減るのは、この構造である。

4 / 5
この分解ができると、「売上を伸ばす」という曖昧な目標が「どの変数を動かすか」という設計の問いに変わる。

単価か、粗利率か、購入回数か、CACか、回収期間か。

五つの変数のどれを動かすかで、打ち手はまったく違う。

5 / 5
動かす変数を一つ選ぶことが、戦術設計の入口である。

全部を同時に動かそうとする計画は、どれも動かせなかった計画と同じ結果になる。

事例
架空の例だが、月額1万円の会員制サービスを考える。

粗利率90%なので月の粗利は一人9,000円。

広告経由の獲得コストは一人5.4万円で、回収には6ヶ月かかる。

平均継続が18ヶ月ならLTVは16.2万円、LTV/CACは3倍で、指標としては健全に見える。

だが月100人の獲得を続けると、毎月540万円が先に出ていき、回収は半年遅れで追いかけてくる。

事例続

成長速度を上げた四半期に、黒字計画のまま現金が最も細る。

この事業の正しい打ち手は「もっと集客」ではなく、初月に買い切り商品を挟んで回収期間を縮めることだった。

分解しなければ、この結論には辿り着けない。

よくある誤解
「LTVが高ければ安心」と読むのは誤りである。

LTVは将来の見込みであり、支払いは今日来る。

見込みの大きさと、今日の現金は別の勘定だ。

回収期間を見ない単価経済性は、半分だけの安全確認である。

まとめ
一人あたりの経済を、粗利ベースのLTV・全部込みのCAC・回収期間の3点で分解する。

分解できて初めて、伸ばして良い事業かが分かる。

宿題
自分の商品ひとつについて、LTV・CAC・回収期間を概算する。

CACに自分の人件費を入れることを忘れない。

次講
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038 単価経済性
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