LF. 理論カリキュラム100 / 第4部 会計と逆算
034
出口から逆算する
「逆算思考」という言葉は自己啓発の棚に並びすぎて、意識の高い人の掛け声のように聞こえる。

だが本来の逆算は精神論の対極にある、ただの割り算である。

しかも割り算の目的は、やることを増やすことではない。

減らすことだ。

命題
逆算は野心の道具ではなく、「今日やるべきでないこと」を特定する引き算の道具である。
前提講 033
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積み上げ思考は現状の延長線しか描けない。

今月の売上に少し足す、フォロワーを少し増やす。

延長線の上には、現状と地続きの未来しかない。

逆算だけが「やらないこと」を決められる。

到達点から割り戻すと、届かない打ち手が先に消えるからである。

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出口とは完成形の定義である。

基準はEBITDA(利払い・税・減価償却前の利益。

会社の稼ぐ力を測る指標)×倍率という企業価値の言語か、あるいは金銭的到達点。

どちらでもよいが、金額と期限のない出口は出口ではない。

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数値例を置く。

年商3億円が目標なら、単価10万円で3,000人。

月に均して250人。

成約率2%なら月12,500人の接触が要る。

リード獲得単価500円なら、月625万円のマーケ予算が必要という計算になる。

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ここまで分解して初めて「足りないのはリードか、成約率か、単価か」が特定できる。

足りない変数が決まれば、打ち手は自動的に絞られる。

逆算とは、無数にある施策から、今やる意味のない施策を消す装置である。

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分解せずに「集客を頑張る」と言っている状態は、第2層が欠落している。

頑張りの量を増やす前に、どの変数を動かすのかを決める。

それが会計を持つということだ。

事例
架空の例だが、企業研修の講師が年間利益2,400万円を出口に置いて逆算した。

当時の単価は20万円。

2,400万円を単価で割ると年120件、月10件の受注が要る。

1件の準備と登壇に20時間かかるため、月10件では200時間となり、実働可能時間を超えて物理的に不可能だと判明した。

つまり彼の目標は、頑張りの不足ではなく単価の構造で最初から詰んでいた。

事例続

単価を60万円に再設計すると必要件数は月3.4件、提供時間は約68時間で収まる。

逆算がなければ、彼は達成不可能な目標に向かって営業量だけを増やし続けていた。

計算一枚が、数年分の空回りを消した。

よくある誤解
逆算を「大きな夢を描く技術」と読むのは誤りである。

逆算の本体は夢ではなく引き算であり、成果物は「やらないことのリスト」である。

手帳に書いた目標が行動を変えないのは、割り戻して打ち手を消す工程を飛ばしているからだ。

まとめ
出口を金額と期限で置き、今日まで割り戻し、届かない打ち手を消す。

逆算は野心の飾りではなく、引き算の道具である。

宿題
自分の出口を金額と期限で一行書き、そこから月あたりの必要数字まで割り算する。

計算の途中で「物理的に不可能」が出たら、それが最初に直すべき変数である。

次講
逆算の途中で数字を読み違える罠
LF.
第4部 会計と逆算
034 出口から逆算する
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