LF. 理論カリキュラム100 / 第4部 会計と逆算
033
経営の骨格
5層フレームワーク
事業の相談を受けると、ほとんどの人が「どう集客するか」という4層目の話から始める。

だが集客の上手い下手で事業が決まるなら、広告代理店は全社大富豪のはずである。

順序が壊れているのだ。

設計には、飛ばせない5つの層がある。

命題
事業設計は、行動変容の定義→戦略会計→戦略経営→戦術設計→稼働の5層を一方向に流す。
前提講 001
1 / 6
第1層は行動変容の定義である。

事業とは誰かの行動を変えることであり、「誰の、どの行動を、どう変えるか」と、その変化への支払意思(WTP。

いくらなら払うかという金額)をまず定義する。

ここが空欄のまま進むと、以降の全層が砂上になる。

売る相手と売る変化が決まっていない事業に、正しい会計も戦術も存在しないからだ。

2 / 6
第2層は戦略会計である。

出口からの逆算で数字の枠を決める。

何年後にどんな状態で完成なのかを金額で置き、そこから年次・月次の必要数字を割り戻す。

感覚ではなく枠が先にできる。

3 / 6
第3層は戦略経営である。

会計が決めた数字の枠の中で、ビジネスモデル・導線・堀を設計する。

数字の裏づけがないモデル設計は絵であり、モデルのない数字は空論である。

この層で両者が噛み合う。

4 / 6
第4層は戦術設計である。

打ち手の選定と、資源の配分帯(この施策に月いくら・何時間までという上限)と、撤退ラインを同時に決める。

打ち手だけ決めて上限とやめ方を決めない設計が、後の迷走を生む。

5 / 6
第5層は稼働である。

回し続け、実績を第4層に戻し、自分を変数から抜いていく。

「策定」でなく「稼働」であることが本質だ。

計画は一度作るものだが、稼働は毎月回り続け、実績で戦術を補正し続ける。

6 / 6
MVV(ミッション・ビジョン・バリューという理念の束)は2番目の箱ではなく、全層を貫く制約である。

理念は数字を生まない。

数字を縛るだけ。

理念から売上目標を導いた気になると、数字の根拠が思想にすり替わり、検証できなくなる。

事例
架空の例だが、オンライン講座を作った元教員がいる。

彼は動画教材を半年かけて完成させてから「さて誰に売ろう」と考え始めた。

つまり第1層を最後に回した。

売り先を探し始めて気づいたのは、想定していた学生層に支払意思がほぼないことだった。

教材の質は高かったが、順序が逆だったため、半年の制作がまるごと検証前の賭けになっていた。

事例続

5層を順に流していれば、支払意思の不在は制作前の聞き取りで分かり、半年は守られていた。

層の順序は、作業の順序ではなく、損失を防ぐ順序である。

よくある誤解
5層を「大企業向けの重い手続き」と読むのは誤りである。

個人事業なら5層は紙1枚で書ける。

重いのは手続きではなく、順序を飛ばしたあとの手戻りの方だ。

まとめ
誰のどの行動を変えるかが先、数字の枠が次、モデルと戦術と稼働がその後。

この一方向の流れが事業設計の骨格である。

宿題
自分の事業を5層で1枚に書き出し、空欄になっている層に印を付ける。

印の層が、今いちばん危険な場所である。

次講
第2層の中身、逆算の技術
LF.
第4部 会計と逆算
033 経営の骨格
MOLVACK