この助言は事業系の発信で繰り返し語られる。
だが実際にサブスクを始めた個人の多くが、数ヶ月で静かに畳んでいる。
理由は単純で、順序が逆だからである。
専門の管理会計書が一冊成立するほどの分野であり、「毎月入ってくる」という見た目の裏で、毎月の解約と獲得の競争が走っている。
継続課金は「継続的な価値向上」との交換であり、作って終わりの商品より、むしろ保守の負担が重い。
顧客が毎月戻る理由が商品側に備わっていないまま課金だけを月額にすると、初月の熱が冷めた順に抜けていく。
反復需要の実態が先にあり、月額はその実態を精算する形式にすぎない。
形式は実態を作れない。
安定の3変数を持たない事業は、単発でもサブスクでも不安定であり、課金形態の変更は問題の場所を変えるだけで、問題を解かない。
失敗側はMoviePass(米国)である。
2017年、月額9.95ドルで映画館の映画がほぼ見放題という価格を打ち出し、加入者は300万人を超えたが、1枚のチケット原価すら月額を上回る構造で、使われるほど赤字が膨らみ、2019年にサービスを停止した。
月額という形態は安定を作らず、崩れた単価経済を毎月精算する装置になった。
成功側はAdobeである。
2012年からのCreative Cloud移行が成立したのは、デザイナーが毎日使い続けるという反復需要の実態が先に存在したからで、月額はその実態に形式を与えただけだった。
同じサブスクでも、実態の有無が生死を分けた。
反復需要と下限の安定が既に立っている事業にとって、サブスクは回収を滑らかにする優れた形式になる。
禁じられているのは形式ではなく、形式で実態の欠落を隠すことである。
順序は、実態が先、形式が後。
書けなければ、先に作るべきは反復の実態である。
