翌月はゼロだった。
この落差を経験した人は多いはずだ。
あの200万円は実力だったのか、偶然だったのか。
それを判定する方法が一つだけある。
同じ結果を、もう一度意図して出せるかどうかである。
行動の単位と売上の関係が一つの式になっていることが、再現性の定義である。
式の形は事業ごとに違ってよいが、式が存在することは共通の条件になる。
原因の分からない成功は、原因の分からない失敗と同じだけ制御不能である。
第1部で見た「学べない失敗」と対になる、「学べない成功」がここにある。
測って補正できる形になっていることが本体である。
初回の見積もりが外れることは織り込み済みで、外れ幅を記録して式を直す。
この補正の一周ごとに、レートは実測値に近づいていく。
月100万円が必要でレートが1,000通300万円なら、必要な送信数は約334通と計算できる。
精神論が算数に置き換わる瞬間である。
足りないのは努力ではなく、レートの計測である。
行動量は十分でも、行動と売上を結ぶ式を持っていないため、努力の置き場所が毎月変わってしまう。
どちらも月200件の提案DMを送っていた。
一人は送りっぱなしで、月によって0件から3件の成約にぶれ、「今月は運が悪かった」と振り返った。
もう一人は送信数・返信数・商談数・成約数を毎週記録し、3ヶ月で「200通→返信16→商談8→成約2」という自分のレートを固定した。
以後、目標成約数から逆に必要送信数を割り出し、月の前半で行動量の不足を検知して補正できるようになった。
同じ行動量の二人を分けたのは、行動ではなく記録である。
壁は労働では越えられず、計測で越える。
レートは行動を売上に変換する式であって、行動そのものを生む装置ではない。
式を持った上で行動量を維持する仕組みが要る。
それは第6部(レバレッジ)の主題になる。
間違っていてもよいから、まず式を書き、測って直す。
書けなければ、今月の行動と結果の記録を今日から始める。
