LF. 理論カリキュラム100 / 第2部 顧客起点の原理
021
数字と現場の両輪
「数字を見ろ」と言う先輩と、「現場に出ろ」と言う先輩がいる。

どちらが正しいのか。

答えは、どちらも半分だけ正しい。

片方しか見ない経営は、右目か左目のどちらかを閉じて運転しているのと同じである。

命題
数字だけを見る経営も、現場だけを見る経営も、半盲である。
前提講 020
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数字は結果を教えるが、理由を教えない。

高評価レビューの裏にある罪悪感、リピートの裏にある惰性。

売上グラフがきれいに伸びていても、その伸びが何に支えられているかは、グラフのどこにも書いていない。

2 / 5
現場は理由を教えるが、規模と再現性を教えない。

感動的な顧客の一言は強力だが、それが市場の何割を代表するのかは、現場では分からない。

一例の熱に打たれて全体戦略を曲げるのは、現場派の典型的な事故である。

3 / 5
だから仮説は「顧客の生の声 × 自社の数字」の照合で立てる。

声が理由の候補を出し、数字がその規模を測る。

二つが一致した点だけが、資源を張るに値する仮説になる。

4 / 5
どちらか片方で立てた仮説は、検証を装った願望である。

数字だけの仮説は「なぜ」を想像で埋めており、現場だけの仮説は「どれくらい」を熱量で埋めている。

埋めた部分が、そのまま外れる部分になる。

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よって、定期的に現場へ出る仕組みを、月次の計器と同格の制度として持つ。

気が向いたら顧客と話す、では現場情報は途絶える。

数字の月次確認と同じ頻度で、顧客と直接話す機会を予定に固定する。

事例
架空の例だが、高カロリーで味の濃いポテトチップスを売る菓子メーカーを考える。

売上は好調で、レビューには「おいしい」が並ぶ。

数字と表面の声だけを見た担当者は、増産と味の強化を決めた。

だが顧客の家庭を訪ねた別の担当者は、多くの購入者が「痩せたいのに我慢できずに買っている」ことを観察した。

この本音を知っていれば、打ち手は増産一辺倒ではなく、罪悪感を減らす小袋化や置き換え商品にも広がる。

事例続

数字は「売れている」を教え、現場は「後ろめたさと共に売れている」を教えた。

両方を見た者だけが、次の一手の選択肢を全部持てる。

よくある誤解
「数字より現場が大事」という話だと読むのは誤りである。

この講の主張は優先順位ではなく、両輪であること自体にある。

どちらを欠いても半盲であり、半盲の運転は速度を上げるほど危ない。

まとめ
数字は規模を、現場は理由を教える。

両方を同じ頻度で見る制度を持つ者だけが、両目で経営できる。

宿題
自分のカレンダーに「顧客と直接話す予定」が今月何件あるか数える。

数字の確認頻度より少なければ、片目が閉じかけている。

次講
一対一の検証が済んだら、市場へ広げる
LF.
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