LF. 理論カリキュラム100 / 第2部 顧客起点の原理
020
消費者はわがままである
顧客の要望通りに作ったのに、売れない。

アンケートで一位だった商品が、棚で埃をかぶる。

裏切られたと感じる場面だが、顧客は嘘をついたのではない。

人間の仕様として、言葉と行動が最初から別物なのである。

命題
行動と目的の乖離こそ、観察でしか得られない最重要情報である。
前提講 014
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痩せたいのにポテチを食べ、眠りたいのにベッドでSNSを見る。

矛盾は例外ではなく標準である。

人間は目的を語る生き物であると同時に、目先の快に従う生き物であり、この二重性は意志の弱さではなく仕様である。

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アンケートは目的(建前)を答えさせ、行動は本音を示す。

両者は系統的にずれる。

質問された瞬間、人は「ありたい自分」として回答するため、アンケートは本音の測定器ではなく、理想像の収集器になっている。

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「即痩せしたい」の本音は「怠惰なまま痩せたい」である。

ここを読み違えると「血を吐く10日間キャンプ」を作って誰にも買われない。

要望の言葉尻ではなく、その人の生活が許容する努力量まで含めて読んで、初めて商品が設計できる。

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スマートグラスの購入検討ですら「機能は完璧だがカメラ付きが嫌」という理屈にならない比較が起きる。

合理で設計された商品が、非合理な一点で棚に戻される。

この非合理は数字に出ず、観察でしか捕まらない。

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乖離を織り込んだ商品だけが、実際の行動変容を起こせる。

顧客の建前に応える商品は買われず、本音だけに応える商品は自己嫌悪を生む。

建前を立てながら本音を満たす設計が、売れる商品の共通構造である。

事例
実例として、日本マクドナルドのサラダマック(2006年)がある。

顧客調査で「ヘルシーなメニューが欲しい」という声が多数を占めたため、サラダ中心の商品を投入したが、まったく売れずに短期間で消えた。

ところがその後に出た肉厚のクォーターパウンダーやメガマックは行列を作った。

顧客は嘘をついたのではない。

「健康的でありたい」という目的と、「マクドナルドに行く日は肉を食べたい」という行動が、別のレイヤーで同時に真実だっただけである。

事例続

言葉を集めたアンケートは前者しか捕まえられず、レジの記録だけが後者を知っていた。

よくある誤解
「顧客の声は聞くだけ無駄だ」と読むのは誤りである。

声は建前のレイヤーを正確に教えてくれる貴重な情報で、捨てる必要はない。

無駄なのは、声だけで設計することだ。

声と行動を両方観測し、そのずれ自体を設計の入力にする。

まとめ
顧客の言葉と行動は仕様としてずれる。

そのずれを織り込んだ者だけが、買われる商品を設計できる。

宿題
自分の顧客が「口で言っていること」と「実際にやっていること」のずれを一つ特定し、自分の商品がどちらに応えているかを判定する。
次講
では数字は要らないのか。両輪の理論
LF.
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020 消費者はわがままである
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