だがここに一つ、誰も指摘しない事実がある。
それらの数字は、顧客の側から見れば一つ残らずどうでもいい。
この非対称に気づくと、着手の順序が変わる。
顧客が関心を持つのは自分の問題が解決するかどうかだけで、売り手のリストが何人かは、顧客の人生に一切影響しない。
つまり集客数や成約率は、満足を生み出す体制を管理するための内部の計器であって、満足そのものを生む道具ではない。
満足という成果が先にあり、それを拡大再生産する段階で初めて、計器としての意味を持つ。
先に満たす対象が存在しないのに、受け取る仕組みだけを 精密に作り込むことになるからだ。
空の工場に精密な出荷管理システムを入れるのに近い。
マーケは満足の後に来る贅沢である。
贅沢という言葉は侮蔑ではない。
満足を生めるようになった者だけが買える、二番目の道具という意味である。
一人は開業初月からLINE公式とステップ配信を組み、リスト300人を集めたが、初年度の売上は30万円で止まった。
配信の先に、満足した顧客が一人もいなかったからである。
もう一人はリストを作らず、最初の3ヶ月を一人の顧客の課題解決に使い切った。
その顧客の紹介から次の契約が生まれ、初年度で300万円に届いた。
前者はファネルという計器を先に買い、後者は計器が測るべき中身を先に作った。
道具の性能ではなく、順序が結果を分けた。
贅沢とは不要という意味ではなく、順番が後という意味だ。
満足の実績ができた瞬間、ファネルも広告も強力な拡大装置になる。
捨てるのではなく、取っておく。
満足の創出が先、計測と拡大は後。
この順序が第2部の背骨である。
後者が過半なら、順序が逆転している。
