事業を始めない理由の定番だが、国の統計を一枚見るだけで、この認識は崩れる。
競争が激しいのは事実である。
ただし、激しい場所が偏っている。
これは国税庁の会社標本調査で毎年確認できる構造的な事実であり、景気の良し悪しで多少動く程度で、大枠は変わらない。
特別な成功ではなく、単に利益が出ているだけで、過半数を上回る。
売上に再現性があり、社長の稼働と売上が切り離され、月次で数字を測っている。
この3条件を満たす会社は、黒字企業の中でも少数派である。
「みんなこんなものだ」の「みんな」は、6割が赤字の集団である。
基準にする対象を間違えると、安心の根拠も焦りの根拠も狂う。
むしろ逆で、多数派が測らないからこそ、測るだけで上の階段に立てる。
階段の上は、驚くほど空いている。
開業から3年以内に廃業する店が多いと言われる厳しい業界だが、廃業する店の多くは、原価率も損益分岐点も日次で把握していない。
一方、繁盛が続く店は例外なく数字を測っている。
つまり「飲食は厳しい」という競争の実態は、「測らない参入者同士が階段の下で潰し合っている」である。
業界の厳しさと、測る者にとっての厳しさは、別の数字である。
これは飲食に限らず、コンテンツ販売でも受託業でも同じ構造が観測できる。
階段の上に行くほど、残っている競合は測る者だけになり、一人あたりの強さは上がる。
空いているのは席であって、上りやすさではない。
ただし席が空いている以上、上る価値は確実にある。
黒字で上位4割、仕組みを持てば一握り。
測るだけで、立てる段が変わる。
できなければ、まだ多数派の段にいる。
