あれは性格の問題ではない。
ある計算ができるようになると、人は金の使い方が変わってしまう。
その計算の正体を、この講で開く。
同じ広告に同じ金額を入れても、返りは月によって違う。
この揺らぎを前提にしない計画は、最初の下振れで崩れる。
期待値(平均で何倍になって返るか)と、ブレ(上下にどれだけ振れるか)である。
期待値だけ見て賭けるのは、片目をつぶって車を運転するのに近い。
期待値がプラスでも、下振れ一発で資金が尽きる賭けは、賭けてはいけない。
生き残っていれば試行は続けられるが、退場したら期待値は取りに行けない。
金持ちがケチに見える理由はこれである。
彼らは吝嗇なのではなく、期待値とブレを暗算した結果、無駄になる確率の高い支出を弾いているだけだ。
単価10万円以下の教材でも、期待値的に買わない方がいい人は存在する。
年間で見れば、小さな「とりあえず」の合計が、大きな一発の損失を超えることは珍しくない。
買う側の期待値計算はこうなる。
この人自身の実績が月100万円なら、300万円を投下して300万円以上が返る根拠はどこにあるのか。
講師の実績を超えるリターンを、講師への支払いから得る計算は、構造的に無理がある。
この一段の暗算ができるだけで、世の中の投資話の大半は、買う前に仕分けられる。
取ってよいのは、下振れしても退場しない範囲の、期待値がプラスの賭けである。
恐れるべきはリスクではなく、見積もらずに賭けることだ。
期待値とブレを賭ける前に見積もり、安全圏の中で試行を重ねる計算能力である。
