顧客に感謝され、毎月の顧問料も入り、忙しく働いている。
それなのに1年後、事業は一歩も進んでいない。
居心地の良さが、罠の証拠である。
顧客が買っているのは解決策の中身であると同時に、いつでも頼れるあなたの存在である。
この価値は本物だが、あなたの時間と一体化しており、切り離して増やせない。
五人分の顧問収入は心地よい罠になる。
食えてしまうことが問題なのである。
飢えていれば嫌でも転換を考えるが、満腹の停滞は自覚されない。
雑多な依頼の山は、それ自体が観測データであり、頻度の偏りが「市場が本当に求めている一点」を指し示す。
例えば、同じ依頼が五人中四人で出た、その単体解決への支払い意思が確認できた、という条件である。
渦中に入ってからでは、顧問収入を失う恐怖が判断を歪める。
基準は冷静な今しか作れない。
条件なき継続は事業ではなく職業になる。
職業が悪いのではない。
ただ、事業を作るつもりで職業に着地するのは、目的地の取り違えである。
3社の顧問で月40万円が安定し、2年が経った。
ある時、3社すべてから「投稿ネタを考えるのが一番苦しい」という同じ依頼が繰り返されていることに気づき、ネタ出しの型だけを教材化して単体販売したところ、顧問業より高い利益率で売れた。
振り返れば、この型は1年前から目の前にあった。
顧問収入の心地よさが、観測データを1年間読ませなかったのである。
全部やる期間が長すぎると、せっかく集めたデータが棚で眠る。
個別対応は最高の観測手段であり、初期には不可欠である。
問題は、観測のための手段を収益の完成形と取り違え、出口条件なしに続けることだけである。
転換条件を先に決めた者だけが、コンシェルジュを卒業できる。
それが単体商品になるかを、支払い意思の確認一件で検証する計画を立てる。
